手作りリングが宝物になる
今回の手作りリングワークショップは、和歌山県内からお越しくださった20代のカップル。
当店を知ったきっかけはある日、彼女がホテルのロビーでふと目にしたのは、当店の手作りリング体験を紹介するパンフレットだったそうです。
「近くにリングを手作りできる場所はないと思っていたんです」と、話してくださった彼女にとって、そのパンフレットは小さな出会いの合図だったのかもしれません。
「難しそう」「自分にできるかな」
初めてのアクセサリー作りには、そんな不安がつきものです。
しかし彼女は、そんな不安より作ってみたいという気持ちが勝り、思い切ってご予約くださいました。
体験当日、彼氏と2人でご来店され受付をしていただき、体験に関して軽くご説明。
工程を進め行きながら、お2人のプライベートなお話から世間話をしていくにつれ、次第に指先の動きがスムーズになり、和やかな雰囲気に。
金属を叩く音がコツン、コツンと響く空間。
お2人の表情も和らいで自然と会話も生まれ、笑い声や冗談、「うわ!!きれいになっていく!」という驚きの声が空間に温かな空気を運んでくれます。
リングが少しずつ整っていくにつれ、お2人の目も変わっていきました。
磨きの工程では、金属がまるで命を吹き込まれたように輝きが増します。
先端工具を動かすたび、少しずつ光を帯びていくリングは、もう‟ただの素材”ではなく、‟ふたりの時間と気持ちが宿った作品”へと変わっていきました。
そして完成の瞬間。
「うわぁ!!めっちゃきれいでテカテカやぁ!!」
思わず漏れたふたりの声。
手に取ったリングにそっと触れながら、ふたりはじっくりとリングを見つめていました。
「この金額でこれだけの出来栄えは安すぎます」
彼氏がおっしゃったこの言葉、体験に来られたお客様からいつも頂くお言葉ですが嬉しいのひと言です。
「楽しく、リングを作れて本当に良かったです。宝物にします。」
その表情には、達成感と喜びが混ざり合った、手作りならではの特別な輝きが宿っていました。
手作りのリングは、ただのアクセサリーではありません。
自分の手で形作った‟時間”が、そのままリングの表面にそっと重なっています。
例えば、最初は少し緊張しながら触れた金属の冷たさ。
叩くたびに変わっていく形や手応え。
磨いた瞬間に現れた柔らかい光。
そのどれもが、完成したリングと一緒に記憶として残り続けます。
日々の暮らしの中でふと指先を見ると、そこには‟頑張った自分”と‟楽しんだ時間”、‟大切な人とのひととき”が寄り添ってくれる。
誰かからもらったものとも、買ったものとも違う、自分だけの温度を持った特別な1本です。
当店では、このようにお客様が自分の気持ちと向き合いながら、ものつくりの時間を楽しんでくださることを何より大切にしています。
上手に作れるかどうかではなく、
「その人らしいペースでゆっくりと、心地よい時間を過ごしていただけるか」
それが当店が手作りリング体験に込めている想いです。
今回の体験が、ふたりの毎日の中で小さな光となり、ふとした瞬間に‟あの日の自分”を思い出せるような、そんな存在になってくれたら嬉しく思います。
そしていつか、また新しい思い出を作りに来てくださる日が訪れることを、心から願っています。
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